高齢化社会に向けて

私の祖母は昨年犬に2回も噛まれた。1回目は大したことはなかったようだが、2回目にはかなりひどいケガをしてしまい、病院に通うハメとなった。犬に噛まれて病院に行くなんて・・・と正直少し笑えるというか、ドンくさいという話なのだが、しかし、注目すべきはそのドン臭いという点である。祖母の犬好きは何も今に始まった事ではない。私が生まれるずっと前から、とっくに好きだったはずで、これまでも同じように犬と遊んだりしていたのであるが、噛まれたことはなかった。しかし、今になって噛まれてしまうというのは、反射能力が落ちたからなのだろうと思う。私なら、噛まれそうになった時、スッと手を避けて危ない危ないと噛まれずに済む。よくある光景だ。だが、歳をとるとそうはいかなくなるのだろう。でも!「犬が好き」という気持ちは若い頃となんら変わらないわけだから、気持ちの上では若い頃と同じように犬と接する。でも、体は若くなくなって犬に噛まれてしまう。実はこういう傾向がこの自動車社会にも顕著に表れていて、自分が飼いならしていた自動車に噛まれるという、早い話が事故を起こすという事態が急増しているらしい。これからどんどん高齢者ドライバーは増えていく。高齢になれば確実に体の動きは鈍くなるし、判断力や反射神経も鈍くなる。でも、気持ちの上では若い頃と同じような感覚があって、しかも、何十年も運転して来たのだからそれだけ自信もあったりする。そういうことから、時に気持ちに体が付いてこなかったり、とんでもない勘違いや見落としが起こったりして、事故が起こる。現在交通事故や事故による死者は減っているというが、逆に高齢者が起こす事故、そして高齢者の死者は増加している。来るべくして来ているという現状だろうが、やはりこれからは65歳以上が人口の中でかなりの割合を占めてくるわけだから、交通安全面において、高齢者の人が安全にクルマを運転できるように、講習だったり、インフラ面だったり、何かしらの対策を強化していく必要が出てくるのだろう。もちろん、クルマ自身も高齢者というキーワードが非常に重要になってくるはず。確かにお年寄りの中には、本当に危ない人もいる。そういう人には、やはり引退していただくような基準作りも必要かもしれない。