ソリオの迷走

スズキワゴンRソリオがなんと知らないうちに、単なるスズキソリオになっている!!なんの改良もマイナーチェンジも行われていないのに、名前だけが変わるなんて珍しい話だ。昨年12月12日に発売された特別仕様車「Sリミテッド」のWebカタログではワゴンRソリオとなっている。「Sリミテッド」は3月下旬まではスズキのHPでも紹介されていたはずだから、密かな改名が行われたのはつい最近。もしかすると4月〜ということかもしれない。しかし、このクルマも笑わせてくれる。元々わかりやすくワゴンRワイドといううネームでデビューしたはずが、1999年のフルモデルチェンジで、ヨーロッパ市場と同じワゴンRプラスに一新された。これで行くのかな?と思われたが、その後のマイナーチェンジでワゴンRソリオという名前に改名。そして、この春晴れてワゴンRから卒業し、ついにスズキソリオへと飛躍の年を迎えたのである(クルマはなんにも変わってないけど)。

しかし、これはスズキ自身が戦略ミスを認めたということだろう。常にワゴンRという名前にこだわり、あれこれやってみたけれど、結局軽自動車であるワゴンRのブランドは、軽自動車の中では絶大なものでも、1.3Lクラスではそうではなく、むしろマイナスになったということだと思う。今や各社力作を投入しているセグメントで、ワゴンRという名前を使っていては、どうしても軽自動車に1.3Lエンジンを搭載しただけという印象を与えてしまう。実際にはワゴンRソリオは、軽のワゴンRとはかなり別物で、スズキらしくまじめに作られたクルマだったが、お客からすればそんな細かいことは関係ない。名前と見た目がすべてとなる。そういう意味で、軽のワゴンRのモデルチェンジも行われて、見た目もあまり似ていなくなった今、ワゴンRの名前を外して、ソリオだけで行くという決断がされたのだろうと想像する。ということは、今後はおそらくスタイリングもワゴンRを忘れて、まったく違う車として仕立てられることになるはず。(そうしたらまた名前が変わるかもしれないが)今年はコンセプトSも発売される予定だし、今後のスズキの1.3Lクラスの戦略はちょっとおもしろくなってくるかもしれない。

しかし、1世代で3つの名前を持つクルマもちょっと記憶にない。ジムニーワイドもそういえば突然ジムニーシエラに戻ったということもあったが、スズキはとても小回りの利くメーカーで、臨機応変にいろいろなことを対応する。それはいい面でもあるが、こうちょくちょく名前が行ったり来たりでは、そのクルマのイメージとかブランドも定着しない。これからは一本筋が通った車で行って欲しいところだ。