レクサスの価格について考える

この8月から「レクサス」が開業する。26日にレクサスの投入車種の概要や価格が発表された。みなさんどうお感じだろうか。

レクサスは、8月に「GS」と「SC」の2車種が発売され、9月には「IS」が投入される。以前から注目だったのはその価格。そこで、価格に焦点を当てる。まず、エントリーモデル「IS」は390〜525万円というプライスを付けた。

レクサスは、プレミアムブランドとして主に欧州車をライバルとしているが、その一番のライバルである「BMW 3シリーズ」が399〜625万円、「メルセデスベンツCクラス」が399〜585.9万円(AMGは除く)などという価格設定である点を見ると、これらのモデルをかなり意識した価格といえる。しかし、価格は近いものの、内容には若干の差がある。例えば、これらのライバル車は、400万円をきるエントリーグレードの場合、直列4気筒の2.0Lクラスのエンジンを搭載したモデルが中心となるが、ISはV型6気筒の2.5Lエンジンを搭載している。また、装備面でも大きい部分では、HDDナビゲーション、高精細7インチディスプレイをはじめ、クルーズコントロール、インテリジェントAFS、プレミアムサウンドシステムなど他のライバルではオプション扱いになっている装備も、標準で装備される。もしも、同程度の内容でライバル車を買おうとすれば、例えば「BMW 325i」の場合、600万円近い価格となってしまう。上級グレード「IS350」で比較しても、プレミアムブランド同士ならば「IS」は150万円から最大200万円程度割安な価格で買える計算になる。これは、新規参入という点を考えて、トヨタとしては控えめな価格としたといえるかもしれない。上級車種となる「GS」の場合は、520〜630万円という価格設定となっている。こちらはさらに控えめな価格設定とみられる。「BMW 5シリーズ」の610〜924万円、「メルセデスベンツEクラス」の636.3〜942.9万円と比べると、その差は歴然としている。装備内容を見ても、ナビゲーションシステムなどを標準で装備しているから、V型8気筒モデル同士なら、200万円は割安な価格と考えられる。ただし、性能面では若干「GS」の方がおとなしい。しかし、V型6気筒の3.5Lモデルならば「GS」の方が性能面で勝っていると考えられ、520万円で用意されるなら、こちらを選ぶ価値もあるのではないかと思う。

この辺は、トヨタ自動車としては触れて欲しくない部分かもしれないが、同じ会社が作っている以上、今度はトヨタブランドと比べてどうなのか?という点も考えてみなくてはならない。まったく新しいクルマだという主張は理解できるが、海外では先代モデルとして販売されていた事実を元に考えれば、ISの場合、先代と考えられるアルテッツァと比較して、価格帯は単純計算で170〜188万円程度値上がりしている。ただ、これはエンジン排気量も違うし、内容も大きく違うため単純に計算することはできない。なるべく新型ISと近いモデルで検証するとすれば、ほぼ同じセグメントに所属すると思われるマークXを引き合いに出せばいいだろう。同じ型式のエンジンに、ベースは同じプラットホームを採用したマークXの「250G」のうち、装備面を考慮して上級の「Lパッケージ」を元に計算すると、価格は税抜で284万円。これに、17インチアルミホイール、VSC&TRC、サイド&カーテンシールドエアバッグ、スマートエントリー&スタートシステム、インテリジェントAFS、クルーズコントロール、助手席パワーシート、HDDナビゲーションシステム、プレミアムサウンドシステムなどをオプションしたとして(オプション設定がないものについては推定価格で)概算すると、365万円前後。これに消費税を加えると381万円前後。レクサスとしての厳しい品質基準や、マークXよりもインテリアの質感などの面で向上している点を省いても「IS」のブランド分の値上がりは、単純にみて10万円ということになる。もちろん、これはお買い得な価格設定となっている「IS250」での比較となり、3.5Lエンジンで90万円値上がりする「IS350」では、その差はもっと大きくなるが、それでも最大で50万円ちょっと高くなっているという計算でいいだろう。こうして見てみると、価格そのものは高いと感じられるが、装備内容を含めると、それほど高くはなっていないと結論付けられるかもしれない。マークXに多くのオプションを付けるなら「レクサス」が買えると考えていいわけだ。「GS」の場合は、アリストに比べて150万円程度高い価格設定となっているが、こちらもクラウン3.0アスリートをベースに、計算していくと、ブランド料は60万円程度。純粋な価格設定よりも小さくなる。ソアラとして販売されていた「SC」は、680万円という価格設定だが、マークレビンソンプレミアムサウンドをはじめ、いくつかの装備が標準となっており「ノーブルカラーエディション」と同等のものと考えられる。これが、税込で661.5万円だったことを考えると、価格アップは20万円弱である。

レクサス化によって、確かに価格はアップしているが、見た目の価格よりも内容で比べてみれば、それほど価格のアップはないと言える。トヨタブランドに比べ、厳しい品質基準や、細かいインテリアの質感などを考えれば、この価格は納得できる範囲か。しかし、単純に見れば、例えばアルテッツァの新型が400万円になってしまったと思えば、ベラボーに高いと感じる。こういう考え方ならば、むしろ「GS」の割安感が際立つ。同じ3.5Lエンジン搭載モデルで比べれば、価格差は40万円しかないのだ。このくらいの価格差であれば「IS350」より「GS350」買った方がいいんじゃないだろうか?という価格差である。本来ならば「GS」はもう少し高い価格設定でもよさそうなものだ。しかし、海外での価格などを考慮すると、それほど高い価格にはできない部分もあったのかもしれない。レクサスISは月販目標1,800台。GSは1,100台である。この目標はクリアできるのだろうか。レクサスが日本でも成功するか、見守ってみたい。