大学生のクルマ

大学に入学したら、クルマを買ってもらう事は甘いことなのか。ちょっと考えさせられることである。一般的な意見としては、そんなことは甘い、別に新車じゃなくても十分だから、自分で中古車を買うべきとか、最低でも親に借金した形にして、自分でお金を返していくべきだといった意見が大半を占めるだろう。まぁ、それに越した事はないし、そうするのが一番よいのかもしれない。しかし、頭ごなしに言えない面はある。それぞれの家庭の考えもあると思うし、その人自身がどういう道に進んでいるかも関係してくるだろう。例えば、私は島根出身なのだが、島根は私立大学がないので、島根大学くらいしか選択肢はない。実家に住んで地元の国立大学に進む。都会に出たいとか、ひとり暮らしがしたいとか、そういう気持ちを抑えて、この道に進む。県外+私立という私などと比べれば、クルマの1台やそこら買ってもらったとしても、これはとても親孝行だと思ったりする。

島根から関西でも関東でも出て行く人は多い。一人暮らしをして仕送りをしてもらい、家賃を払ってもらって、学費も出してもらう。それが私立大学ならば学費だけで年間100万円近くいるだろうし(理系ならもっといる)、仕送りも月に10万円と計算すれば、年間120万円。それが4年間続くことを考えれば、100万円台のクルマを買ってもらったって、実家から国立に通っている学生は、ずいぶんとお金がかからない。特に島根では松江市内なら問題ないが、付近の市町村から通うとなれば、これはクルマなしには難しい。電車もろくに通っていないのだから。それにそれ以外の地方の国立大学なんかも、街の中から田舎に移転する場合も多いし、クルマなしでは不便ということもある。まぁ、私立の医学部なんかに行けば、数千万円の学費を出してもらい、びっくりするほどの仕送りをしてもらい、外車を乗り回す学生もいるわけだが、そういう人はちょっと別の世界だろう。クルマというものはなんとなく贅沢なものだというイメージがあるが、なかなかそれだけでひとくくりにできないなぁと思う。

まぁ、実家に住んで国立に通い、さらには自分で稼いでクルマを買う。こりゃあ最高に親孝行な人だろう。しかし、私自身を振り返ると、それではあまりにも私が親不孝な気がして、もう十分親孝行だから、クルマくらい買って貰ったっていいじゃないかと、思ってしまうのである。