手頃なサイズ

近頃はグローバル化なんて言われているが、クルマもそうであって、メーカー単位での技術面、経営面での提携などが行われているのだが、それ以前にもっと身近なのは、そのクルマ自体が世界で売られるということも、一種のグローバル化と言えるかもしれない。例えば、最近ではカペラやアコードが、ヨーロッパで販売するモデルと共通のボディを与えられというよりも、むしろヨーロッパを中心としたモデルに生まれ変わっているし、日産は3.5Lエンジンばかりを利用したりしている。中には日本ではやはり5ナンバーサイズがいいと言う人がいるのだが、私はあまりそれにこだわらないという立場でいた。しかし、やはり日本国内を走るとなれば、日本に合ったサイズもあるはずである。すべてのクルマが日本サイズになる必要はないが、日本に合ったクルマも必要だと思うのである。今のところコンパクトなモデルについては、5ナンバーサイズだから、あまり問題はないとしても、ミディアムサイズのクルマでは3ナンバー中心となってしまい、もう少しコンパクトなクルマがあればいいと思うときもある。5ナンバーに抑えろというわけではなく、やはり日本では幅は1750mm以下がいいと思う。1700後半〜1800mmは大きすぎることもある。ただ、これには制約も考えられる。例えば、衝突安全性等もあるから、室内空間はそんなに贅沢を言ってはいけない。安全性もちゃんとしろ、室内も広げろ、こんなことは魔法使いではないのだからできない。コンパクトな代わりに室内空間は多少は我慢するというユーザー側の譲歩も大事だと思う。サイズがちょうどいい車は売れるのである。例えば、ミディアムセダンなどまったく人気がないが、プレミオ、アリオンは売れている。このご時世に両者合わせて1万台近い販売を記録するのだから凄い。このクルマは以前のコロナ、カリーナよりも狭くなっている。トヨタは広くなったと言っているが、半分本当で半分嘘である。確かに数字を見れば室内長は広くなったのだが、昔のコロナはこんなものではなかった。空間そのものは広いが、プレミオ、アリオンは「有効になっている空間」は狭い。(数字なんてあまりあてにしてはいけない)インパネからフロントガラスまでの距離はだいぶ長くなったし、室内幅は5cm程度、190系時代から比べると少なくなっている。だから、体感的には確実に狭くなったし、実際にフロントをある程度広くすると、売りであるはずのクラウン以上のリヤの足元空間は、大した事がなくなる。前のコロナの方が全然広かったよね?という感じである。その代わり、プレミオ、アリオンは世界的に見ても厳しい日本の衝突アセスメントで、最高レベルの結果を手に入れている。ボディが大きくなっても、それなりに広い空間を取るか、それとも扱いやすさを大切にして、空間はある程度納得するか、これは重要なポイントだと思う。小さくしろと言っていても、反面では狭くするなと言われれば、メーカーもボディを大きくせざるをえない。我々の意識も少しは変えないと、小さい車は充実しないかもしれない。