プレジデントの復活に思ふ


以前書いたものが出てきたので、久しぶりにここに掲載しておこう。


新型プレジデントの画像を最初に見たときに、これはプレジデントではない!。シーマの1グレード「ソブリン」としか私は認めない!と書いた記憶があるが、今回はもう少しいろいろと考えてみた。

もちろん、こんなクルマは私に縁はない。だから、あれこれ偉そうに言ったところで買うわけもないのだが、改めて考えると、こういう成り立ちであったとしても、プレジデントが復活したことは、意味があることだったかなと思う。私が聞いた話も交えるのだが、当初日産はこういう形でプレジデントを作るつもりはなかったという。プレジデントが抜けた穴は、当面はシーマの最上級グレードであり、ショーファードリブン向けとしても設定されている「450VIP」が担当すればいいと考えていたようだ。しかし、それは代わりにならなかった。

そして出てきた新型プレジデントは、見ればわかる通り、シーマと大差のないというより、ほとんど同じクルマなのであった。だが、世の中というのはそうクルマ好きの論理で通らない事が多く、成り立ちよりも「プレジデント」というブランドを欲しがる人が多かった。企業や役所では、トップはプレジデント、次はシーマ、その次はセドリックといったように、序列がやはり決まっているケースが多い。そういうこともあって、それまでプレジデントに乗っていたエグゼクティブに、メーカーの都合で今度はシーマにしてくれと言っても、なかなか受け入れられるものではない。確かにシーマをちょっと変えただけで、100万円以上高い価格で売るのはいかがなものかという意見もあるだろうが、こういう世界はそんなことより、プレジデントの存在そのものが重要視されるのである。だから、見かたを変えれば高くなければ困るのだ。シーマと同じ値段なら、お客が不満がることだってあったりするし、少なくともあまり個人が買う場面もないだろうから、その事自体はあまり問題はない。

というわけで、プレジデントは本当にお手軽に作られてしまい、やはり物足りなさは感じるが、復活したことは一応嬉しいと思う。こういうクルマは利益や台数よりもメーカー自身のステータスである。その国のエグゼクティブが乗る車を作っていることは、そのメーカーにとっても、ファンにとっても誇れるものであるはずだ。日本国内ではやはりトヨタと日産がそういうクルマをずっと作って来た。日本のエグゼクティブの間では、センチュリーとプレジデントは絶対的な地位とブランド力を持っている。これに並ぶクルマを作る国産メーカーは他にないのである。しかし、日産の経営が傾き、ついにこのステータスまでも無くなってしまうのか?と一時は思われ、そしてラインナップから消えたことは、いちファンとしてはとても残念な気持ちもあった。それが存続された(ある意味こういう形をとってまでも)ことは、この次もあるという期待感につながる。もう少し余裕が出て、本気のプレジデントがいつか出てくる可能性があるなら、今回は今回で苦肉の策として理解しようとも思える。次はいつ出てくるのかわからないが、個人的な意見としては、次のプレジデントを世界的なクルマにしたらどうかと思う。それは国内の一部の役員のために作られるのでは、採算が厳しいという面もあるからだが、インフィニティのトップに君臨するモデルとして、Q45(シーマ)とははっきりと差別化し、V型12気筒を搭載して、これぞプレジデント!というモデルになったらいいと願う。V型12気筒に関しては、確かに今の日産の状況を考えると、あまり現実的ではないと思われるかもしれないが、実のところプレミアムブランドを目指しているルノーが欲しがっているという噂もあり、開発に向けての動きはあるという話も出てきている。もしもそれが本当ならば、楽しみなことだ。これぞプレジデントというクルマが出てくる日がいつか来ることを期待したい。


付け加えとなるが、現行プレジデントには、せっかくだから4WDモデルを設定したらいいと思う。センチュリーは不可能ではないだろうが、お金はかかるだろうし、そもそもそのために4WD車を開発する気はトヨタにもないだろう。しかし、プレジデントの場合はシーマとまったくメカニズム的には同じなのだから、4WDの設定はすぐにでも可能だろう。もしもプレジデントに4WDが出れば、雪国での需要はかなりあるように思う。