ロングノーズバンパー \3,000,000 それにお金を出す人 priceless

日産フェアレディZに新顔「Type E」が登場した。このクルマは詳しいことはわからないが、レースのためだけに“形だけ”販売するモデルなのだそうだ。レースによっても違うだろうが、レースの中には実際に市販されたクルマと(寸法などが)同じでなければならないというものもあるそうで、ノーマルのZだと空力的に不利なのだという。そういう意味で、ロングノーズバンパーを装着したモデルを、形だけ発売しなければならなかった。そのため、日産としては「Type E」は買わなくていいですよ(というより買わないでください)という気持ちが大きいはずである。でなければ、バンパーだけで300万円も高い価格設定はしない。この価格設定はとんでもないもののように見えるが、実は日産の良心なのである。

真のスペシャリティモデルは同時にNISMOから発売された「S-Tune GT」である。こちらはベースは「Type E」となるが、こちらは、かなり大規模なエンジンまわりの専用チューニングが施され(100万円相当らしい)、またサスペンションも専用のもの。内外装でも専用アルカンターラシート、コンビネーションメーターなどを装備し、チューニングカーとして魅力のあるものとなっている。エンジンもS1仕様のVQ35DEということで、パワーは300馬力と控えめながら、おそらくまったく別物に仕上がっていると考えられる。これで価格はなんと650万円!!なのだから、ますます日産自身が「Type E」を売る気がないのがわかる。これを比べれば「Type E」など誰も買うはずがない。これには、もちろんメーカー自身が工場でこういった特別なチューニングを施しにくいという面もあるだろうが、現状では280馬力の自主規制等もあって、すでに280馬力に達している(一説によると密かに超えている)Zとしては、これ以上スペシャルなバージョンを現段階で出しにくいという理由もありそうである。この先、そういった規制がなくなれば、「Type E」のようなモデルも特別なチューニングが施されて、650万円という内容に見合うものが販売できるかもしれないが、まぁそうは言ってもどういう形であれ、きちんと650万円に見合う選択肢を用意しているのだから、この際買う側としてはおとなしく「S-Tune GT」を買えばいいということである。

しかし、メーカー自身がお客に買わせないために、わざわざバカ高い価格を付けるなんて事は本当に珍しい。それでも買いたい人はいるのだろうか。たぶん相当希少なモデルになりそうだ。将来的にプレミアムがつくだろうか??こんなもの買う理由がないと思いつつ、私としてはバンパーだけに300万円出せる(人)という事実を得るということそのものが、すでに購入する価値にもなってしまうのではないかと思ったりする。

ただ、ひとつ疑問なのは、このバンパーというのは、用品として注文ができるのか?ということである。「Type E」にしろ「S-Tune GT」にしろいくらかは売れるだろうから、もしもバンパーを破損してしまった場合、注文できないと困る。その場合、バンパーはいくらなのだろう・・・。まさか300万円ということはないと思うが、ならばノーマルのバージョンSを買って「Type E」のバンパーを付ければいいのではないかという案も浮上してくる。もちろん、バンパーとしてはバカに高い価格だとしても、「Type E」を買うよりも安いのは間違いない。もちろん、こういう特殊な部品は誰にでも売ってくれるというものではないと思うが・・・。