ダイムラークライスラーの真意は?

ダイムラークライスラーが、三菱自動車工業から事実上手を引くという方針を固めた。昨日の朝このニュースを聞いて本当に驚いた。ニュースやTVなどでの予測を改めてここで書いても仕方ないので、その辺は触れないが、資本提携は解消。エンジンやプラットホームなどの共同事業に関しての業務提携は継続というつもりらしい。なんだか恐れていた事が現実になってしまったという感じがするが、もしもこのままどこも支援しないとなると、三菱の存続はかなり難しいことになるという。ただ、その話はとりあえず置いて、私自身が疑念を抱いているのは、ダイムラークライスラーに対してである。ダイムラークライスラーは、元々本気で三菱を再建しようと考えていたのだろうか?そんな気はさらさらなかったのではないか。三菱がダイムラークライスラーの一員となって3〜4年が経過するが、私はどうも本気でやり直していくつもりなのだろうか?と思う瞬間は多くあった。それはここでも書いて来たと思う。ダイムラーから送り込まれた役員たちは、お世辞にも強力なリーダーシップを発揮して、大改革に当たっているとは思えないし、出てくるクルマを見ても市場の意見を無視した自己満足デザインの押し付け。環境対応などの面はあるにせよ、気付けば売っているクルマの商品力は下がってる。社内の風土にも変化はなかった。その結果、タイヤ脱落事故や、それに関連するリコールの取り扱いなど、イメージは悪くなっている。三菱の古い体質がまったく改善されていなかったわけで、ダイムラーからやってきた役員は何もしていなかったと言っても過言ではない。中途半端に生き返らせず、悪い方へ導き、まるで解消の理由を作っていたようである。彼らが一生懸命になっていたことは、トラック・バス部門を手に入れることだけ。分社化させて手に入ったら、あとはどうでもよかったということである。これ以上多額の金をつぎ込む気など最初からない。そして、コンパクトカーや小排気量エンジンなどの技術は業務提携によってしっかりいただく。でなければ、三菱単独でなんてできるわけがない。最悪のシナリオとしてこんなことを言っていた人はいた。しかし、やはりそれは本当の思惑だったのかもしれない。

ただ、エクロート前社長はある国会議員との会食で「三菱自動車には強いブランドがない、あるのはグループ名だけ」と語ったと言う。彼自身はあまり目立たない人物だったが、彼を含めてダイムラーからやってきた役員をもってしても、この三菱の企業風土を変えることは並大抵のことではなかったのかもしれない。そういう面が資本提携の解消を早めた部分はあるだろう。よく、三菱と日産を比べて、なぜ三菱は回復できないか?という話があるが、これは1つは三菱という企業の体質にあると言われる。バックには巨大な三菱グループが付いており、どこかで安心感を持っていたりするのだという。もうひとつは、トップのやる気もあるだろう。日産の場合、日産がダメならルノーも確実に終わる。だから必死で再建しようとする。しかし、三菱の場合は提携のねらいが必ずしも三菱の再建にはなかった。まったくダイムラークライスラーというのも、困ったものである。これから三菱がどのようになっていくか、今の時点ではわからないが、振り回された感は否めない。再建は相当厳しいし、規模も大幅に縮小しなければならないだろうが、三菱グループの支援によって、なんとか建て直していく道を探るのだろう。国内メーカーとの提携なんて予測もあるようだが、私は少なくとも資本提携をするところはないと思う。現代自動車の名前も上がっているようだが、これも私は反対だ。日本企業と韓国企業でうまくいくことはめったにない。復活できるかどうか。まだまだまったく先行きは見えず、一筋の光も見えてこない状況だ。