プレミアムブランド時代

来年の8月には、日本でもレクサスブランドが展開される。もう説明は必要ないだろうが、レクサスはトヨタ自動車が展開するプレミアムブランドである。すでにアメリカ、ヨーロッパ、アジア地域の数多い国で販売されており、特にアメリカではこの10年もっとも成功したブランドといわれるほど。レクサスはヨーロッパのプレミアムブランドにも大きな影響を与えた。ジャガーはレクサスのようなエンジンを作りたいと言ったというし、メルセデスベンツには、高級車は我々でなくても作れることがわかったと言わせた。そのレクサスが、トヨタのお膝元である日本投入されることは非常に注目となる。日本へのレクサスブランド投入は以前にも検討はされたのだろうが、日本国内が不況だったということもあり、慎重なトヨタとしてはなかなか踏み切れずにいたと思われるが、日本でも高価格・高品質のものは売れているということもあり、今回実現することになったと思われる。我々クルマ好きとしては、概ねこのレクサス展開には歓迎ムードだと思う。それは、世界でレクサスとして販売されているクルマはやっぱり日本でもレクサスとして販売するのが自然という考え方、日本でもレクサスを買いたいという思いがあるわけだが、逆に一般の消費者からはレクサスブランドに対する疑問もあるのは事実。そういう人々は、別にトヨタでいいんじゃないか。エンブレムが違うだけで価格も上がるのはどうかと思うという意見も聞く。それもまたなるほどと思う意見である。それについては、私も価格が上がるのなら、それなりの付加価値を付けて欲しいと思う。ただ、考え方を変えれば価格もまた売り。メルセデスベンツBMWからお客を奪いたいなら、価格もそれなりにしないといけない面もある。この辺はトヨタだから上手にやるとは思う。あまり法外な値段を付けることはないだろう。しかし、これからは日本も二極化の時代に来るのかなと思う。実用的で価格も安いコンパクトカーもたくさん売れれば、レクサスのようなプレミアムブランドも少なくない台数が売れる。1億総中流の時代も終わりつつあるのだろうか。レクサスは店舗やサービスについても、最高のものになるという。私のような者はおすそれと近寄れないものになるのだろう。プレミアムブランドといえば、トヨタのライバルである日産もこれに対抗するために動き出している。アメリカで主に展開しているインフィニティブランドを今後、ヨーロッパと日本で積極的に展開することを発表した。レクサスに遅れ、おそらくQ45の次期モデル(シーマの新型)からデビューするのだろうと思うが、2007年までには日産もインフィニティを日本国内で売るつもりでいるらしい。インフィニティも魅力的なクルマがある。FX35/45あたりも日本で買えるようになるかもしれない。こうなると、伝統的な日本での車名も大きく変わる可能性がある。日産はセドリック/グロリアを現行限りで終わらせ、新しいセダンを「FUGA」という名称で発売するようだし、インフィニティブランドが展開されれば、スカイラインの名前もどうなるのかわからない。トヨタセルシオソアラなどのブランドが変わってしまうことになる。それはそれで寂しいものがある。とはいえ、こういったプレミアム路線が成功すれば、ホンダもアキュラを日本で売ろうかなと思うかもしれないし、なぜ日本ではレクサスやインフィニティが売られないのだろう?というクルマ好きの不満は、一気に進展することになっていく。この流れに乗って、日本メーカーもヨーロッパメーカーのように、よりハイパワーで凄いクルマを出してくるかもしれない。