エルグランドのマイナーチェンジ

エルグランドのマイナーチェンジについては、かなり注目度が高いようで、多くの人が情報を得ようと、エルグランドのページを閲覧している。エルグランドは健闘しているものの、アルファードと比べると販売台数では差を付けられている。このクラスのミニバンの元祖として、黙ってそれを見ているわけにもいかないわけで、年内には経済性の高い2.5Lを追加するという。日本の事情を考えると、2.5Lは必要だと思う。日産としては十分な性能を考えたら3.5Lは必要という考えがあったのだろうが、日本のお客は高速走行をしたり、長距離を走る機会が多い人はあまりいないし、週末専門の人も多い。しかも、日本の道路は低速である。3.5Lのクルマを持っていることがもったいないと思う人も多い。3.5Lという排気量に抵抗を感じる人も多く、選択肢に入れてもらえないこともある。多少走らなくても2.5Lを追加することで、選択肢の中に入れてもらう狙いがあるのだろう。今のところ私が得た情報によると、追加される2.5LはV6のVQ25DEということである。4気筒のQR型がFF専用であるため、VQ25をそのまま搭載した方が安くあがるということもあるだろうが、やはりエルグランドに4気筒はふさわしくないという判断があったのだろう。コスト的にそう安くならないため、価格は大きく下がらないだろうが、販売不振の問題は価格ではなく(現行の289万円〜という価格なら十分安い)排気量にあるため、この点は問題ないと思う。しかも、セールストークでは、アルファードエリシオンと迷っているお客に対して、あちらは4気筒、エルグランドは6気筒ですよとアピールできる。これはかなりのアドバンテージだ。

日産は、3.5Lエンジンを多く使っている。この話は何度かここでもしたが、日本市場でも3.0Lは縮小し、3.5Lに統一するという動きである。エルグランドに初めて3.5Lが搭載された時は、こりゃ大きなエンジンだと思ったものだが、3.5Lという排気量のクルマが増えて、少しばかり慣れてきた。とはいえ、やはり日本では少し大きすぎるというのが本当のところだろう。3.5Lを多用するのは、アメリカ市場との兼ね合いで、コスト重視の結果という意見もあるだろうが、実はあるエピソードを聞いて少しばかり私の考えは変わった。ゴーン社長はクルマ好きとして有名でもあり、日産に来た当初、スカイラインGT-Rから降りてこなかったという話もある。その時か、また違うときかはわからないが、ゴーン社長はこのVQ35エンジンがいたく気に入ったという。おそらくVQシリーズの中では、もっともスポーティであり、そして豪快。低速から高速までよどみないトルクとパワーを発するこのエンジンに、クルマ好きとして魅力を感じたのだろう。そしてゴーン社長は「このエンジンを全部のクルマに載せよう」と熱く語ったという。コストもあるかもしれない。しかし、この3.5Lという必要以上のゆとりは、走りの日産というブランドイメージを作るひとつのポイントでもあったのだと思う。決して日産は小さい排気量を無視しているわけではない。ティアナでは2.3Lをわざわざ開発したし、今後はエルグランドの2.5Lだけでなく、ムラーノにも2.5Lを用意するようだ。確かに日本では大きな排気量という感じはするが、しかし、ゴーン氏のクルマ好きとしての熱いものが、このVQ35の活用にある程度影響を与えているのなら、同じクルマ好きとして、その気持ちはわかるという思いがする。