エルグランド 2.5L !!

日産エルグランドに、2.5Lが追加設定された。エルグランドは決して売れていないわけではないが、ライバルのトヨタアルファードには販売面で倍近い差を付けられている。なぜアルファードが売れるのか?その1つの理由が、アルファードには経済的な2.4Lモデルが存在する点にある。事実、アルファードの販売比率のうち50%以上が2.4Lであり、世の中の人々はやはり少しでも維持費のかからないクルマを求めているとうかがえる。エルグランドは、日産のこだわりもあり、3.5Lのみというラインナップでの出発となったが、3.0Lならまだしも3.5Lはやっぱりちょっと大きすぎる・・・という声が多く、さすがにここまで差を付けられては黙ってはいられない。急遽2.5Lを追加する形でアルファードに対してリベンジしたい考えだ。

今回追加された2.5Lは、V型6気筒のVQ25DE。ライバルのアルファード、また昨年新たにこのセグメントに加わったホンダエリシオンが4気筒エンジンを搭載しているのに対し、エルグランドはV6を搭載する点、ライバルに対するアドバンテージとなっている。また上級ミニバンとしてのエルグランドらしさも出ている。ミッションは日産としては珍しくケチケチせずに5速ATを採用。環境性能ではU-LEV認定を受け、燃費は8.9km/Lと3.5Lに比べて0.5km/L向上している。6気筒ということと、重量の重いボディに小さめのエンジンを搭載するということで、燃費はそれほど大きく向上していないが、使用する燃料がレギュラーガソリンとなっているので、実際のランニングコストは3.5Lに比べて安く収まると予想できる。

実際、エルグランドの2.5Lはどうなのだろうか。まずカタログスペックを見た限りでは、やや頼りない印象を受けた。搭載されたVQ25DEは型式こそFUGAと同じものの、ミニバンに搭載するためにデチューンされており、またレギュラーガソリンになったことも関係して、パワー&トルクは186ps/23.7kgmと2.5LのV6としてはやや控えめ。また、車両重量も同系統のVQエンジンを搭載するため、軽量化はならず、ほとんど変わらない。ちょっと厳しいだろうなという思わせる。そんな気持ちを抱いていたのだが、先日試乗する機会に恵まれた。正直あんまり期待していなかったということもあるかもしれない。しかし、結論から言えば、意外に走るじゃないか!というものであった。そして、同時にこれで十分かもしれない・・・と思ってしまった。もちろん、8人満員乗車で高速道路を走ったり、アップダウンの激しい山坂道を走るならば、3.5Lのゆとりが欲しくなるくらいの性能である。しかし、実際に満員乗せて走ることなど、現代の家族のスタイルでは年に数回あるかないか。多くは2〜3名での市街地利用中心だ。そういう一般的な使用条件なら、2.5Lでなんの不満も感じないと予測できる。もちろん、3.5Lに乗ればこっちが欲しいなぁと思ってしまう。それだけの差はあるのだが、2.5Lで十分じゃないかと感じることができた。私自身、エルグランドを買うとしたら?と聞かれたら、本音はやっぱり3.5Lが欲しいけど、いろいろ考えると2.5Lでいいかなと思うだろう。この点はやはりV6という面が大きい。ライバルのアルファードエリシオンは、走り大きな不満はないにしても、4気筒という点が引っかかる。やはり高級ミニバンに4気筒は相応しくないと思うからだ。無理しても6気筒が欲しいと思ってしまう。しかし、エルグランドならV6である。抵抗なく経済性の高い2.5Lクラスを選ぶことができるのは大きな魅力だろう。

エルグランドの2.5Lは「V」と「ハイウェイスター」の2グレードが用意される。そして、駆動方式は2WDとオールモード4X4という4WDが設定される。価格は「V」が267万円〜、「ハイウェイスター」が297万円〜となっている。アルファードの同様なグレードと比べると、2.4Lの「AX-Lエディション」が275万円〜、スポーティな「AS」が296万円〜。装備内容などはほぼ同じレベル(一部エルグランドの方が優れる点もあり)V6エンジンと5速ATを採用している点を考えると、エルグランドの方が商品力が高く、価格も割安と考えていい。また、エリシオンも4気筒の2.4Lで270万円〜という価格であり、こちらに対しても競争力は十分にある。しかも、エルグランドは3.5Lモデルも300万円から選ぶことができる。少しでも経済性の高いものを選びたい人にとっても、ゆとりの3.5Lエンジンが欲しい人にとってもコストパフォーマンスの高い1台といえるだろう。