日産スカイライン → GT-R

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新型日産スカイラインが姿を現した。ニューヨーク国際オートショーでの発表だけに「インフィニティG35セダン」としての発表だが、これは次期スカイラインと言って間違いはないだろう。クーペバージョンは先にお披露目されたが、デビューするのは、実はこのセダンが先でこの秋。クーペは約半年遅れて来年となる。

今回のインフィニティG35セダンは、クーペの時よりも、より現実的なものとなり、特にインテリアを含めてほぼ量産車ともいえる出来栄えとみえる。現行型で不満だったインパネ回りも、若干改良はされたようで、日本名フーガであるM35/45の弟分らしいものとなっている。パネル類にはいつくかの種類が設定されるだろうし、シートカラーも1色ということはないだろうから、組み合わせ次第では、この写真よりも高級感のある内装を作ることもできるかもしれない。

日産は、180プラン達成のため新型車を急いで出しすぎたため、今年出てくる新型車はこのスカイラインしかない(三菱からのOEMを受けるオッティのFMCはあるが)という状態だ。本来であれば、エクストレイルが今年FMCを予定していたのであるが、あまりにも代わり映えしないスタイリングだったため、1からやり直しを言い渡され、来年となってしまったらしい。あくまで、想像であるが、最近の日産車はチープなものを発売し、マイナーチェンジでグッと質感を高めるということが多い。さすがにコストコストとうるさいとはいえ、同じ過ちを繰り返すのは賢くない。今度のプレサージュのMCを見ても、どうして最初からこうしないの?と思ったりする。ケチケチしすぎたら、売れないのだから。日産としても、エクストレイルに対して、このまま出してはまずいと思ったのではないだろうか。その代わり、2007年の日産はすごいことになる。新型車がどんどん出てくる。

それだけに日産としても入魂の1台として新型スカイラインは日本市場に送り込まれることになる。気になるのは、新開発プラットホームとエンジンである。これは、いずれ日産のフラッグシップカーとなるGT-Rにつながるものである。メカニズムについては、まだ何も公表されていないが、エンジン単体での展示では、これまでのVQエンジンとは違い、フーガに搭載されているVK型エンジンのようなエンジンカバーで、スポーティさをアピールしていた。しかしながら、今度搭載される新型エンジンの型式は、どうやらVQ型ということになりそうである。まず、第一にVQエンジンというブランドが特に北米で浸透している点が上げられる。11年連続で世界10ベストエンジンに選ばれる世界最高のV6エンジンというブランドを捨てるより、New VQとして売り込む方が得策だという判断があったのかもしれない。なんだ〜VQかぁとがっかりする人もいるかもしれないが、今回型式こそVQを名乗るものの、80%以上は新設計され、まったく別物のエンジンとなっているといい。振り返れば、直列6気筒のRB型もNEOストレート6といって、80%程度新設計ながら、型式はそのままで登場させていたことがある。

今回のこのVQエンジンは、まずセダンには2.5Lと3.5Lが設定されることになるようだ。新設計だけに当然ボア/ストロークも一新され、レブリミットは3.5Lながら7,500回転まで引き上げられる。高回転まで気持ちよく回る新ユニットになっていることを期待したい。当然、この新VQ35のベンチマークとなったのは、トヨタの2GR型であることは間違いなく、V6の日産としては意地でも、このエンジンを凌駕するものに仕立ててくることを願いたい。トランスミッションは、今のところはっきりした情報はないが、5速ATとなる可能性が高そうだ。6速や7速、レクサスLSに至っては8速と、ATの多段化が進む中で、物足りなさはあるが、ジヤトコとしては、むやみな多段化ではなく、最終的には多段の極みであるCVTに持っていきたいと考えているようである。エクストロイドCVTは一旦姿は消すが、今後も継続して研究開発を進めるようだ。

新型スカイラインに搭載されるエンジンについての情報は何もないが、今のところ、3.5L仕様で300馬力をオーバー。おそらくトヨタを意識して、320馬力に設定してくるのではないだろうか。そして、国内で販売の中心となるであろう2.5Lは、マークXなどを意識して、220馬力程度となると予測される。このエンジンは直噴ではないが、今まで通りVTC(バルブタイミングコントロールシステム)などを採用し、新開発エンジンらしく燃費面でも環境面でも4つ星を取れる実力を備えてくるはずだ。

しかし、隠しだまはこのあとにデビューするクーペに搭載される新開発のVQ37型エンジンである。このエンジンは、半年遅れてデビューするにはワケがあり、どうやらこちらには、新技術VEL(連続バルブ作動角・リフト可変システム)が採用されるようである。排気量もアップされ、VEL機構も搭載されるこのエンジンは、おそらく350馬力を超える出力を得ることになるだろう。ちなみに、このエンジンは将来的にはインフィニティM、FXなどにも搭載が予定されているようだ。

こうなると、次期GT-Rにだいぶつながってくる。現状の情報をあわせてみると、一番自然なのがこの新型VQ37をベースにツインターボ化したものというのが現実的なところではないだろうか。一説によると、パワーは450〜500馬力級、トルクは60kgmにも達するという。以前からゴーン社長自ら、驚きのスペックで出しますと言っていたように、GT-Rは日産のフラッグシップスポーツカーとして、世界の名だたるスーパーカーと肩を並べる性能を持ってデビューすることになりそうだ。そうなると気になるのは価格だが、今のところ、最廉価モデルでも800万円は下回らないのでは?と言われている。中途半端な価格にするよりも、ずっと賢いのではないかと思う。

ただ、このGT-Rが日産ブランドで出るのかはわからない。先日日産は欧州でのインフィニティブランドの展開を決めたばかりである。海外ではインフィニティGT-Rとしてデビューすることも十分考えられる上、ホンダがアキュラブランドを国内導入するなど、日本国内での高級車ブランド市場も変化している。日産がもしも、日本においてもインフィニティを展開するとなれば、当然イメージリーダーとしてGT-Rはインフィニティブランドから発売される可能性はある。日産のフラッグシップはフェアレディZがある。そのような経過を想像してみると、もしかすると、今度のスカイラインは最後のスカイラインになる可能性もある。