ペーパードライバー

ペーパードライバーは、免許は持っているが、運転はしていない、していなかったドライバーのことである。だから、法律の上ではクルマを運転しても、違反にも犯罪にもならないのだが、これが極めて危険な存在である。最近、5年ぶりとか10年ぶりなど、長い期間クルマを運転していないという人が、いろいろと事情もあり、クルマに乗ろうという話をいくつか聞くことがあった。私は迷わず教習所に通い、講習または練習を受けることをおすすめした。これらの方々は免許は取得しているわけだが、現実問題として数年以上、ましてや10年も乗っていないわけだから、私の考えでは無免許の人と同じである。免許は身分証明書でしかない。少なくとも、30時間以上の技能教習、20時間以上の学科教習を終え、今日免許を取得した人よりも危険なのは間違いないだろう。こういった人が道路に出てくるというのは極めて問題であるし、他の人の迷惑となる。初心者はまだ免許を取ったばかりということもあって、自覚もあるのだが、ペーパードライバーとなると、期間だけは長いからなんとなくそれなりの運転技術があると錯覚してしまったり、うろ覚えで勝手に自分流の決まりを作ってしまったり、そういった心理的な面でも変な自信を持ちやすいと言われている。ペーパードライバーの方は、自分は無免許と同じであるという自覚を持って、ぜひ一からやり直して、その上で堂々と道路にデビューして欲しいと思うのである。

以前、あるテレビ番組で、子どもの送り迎えに使うために、何年ぶりかクルマの運転を始めるといった内容の番組があった。しかし、その番組は大変腹立たしいものだった。まず、私は当然教習所に行き、そこから練習をさせるのかと思いきや、最初から路上に出て行くのである。少し前のことなので、詳しい内容は覚えていないが、助手席にプロドライバーが乗っていたとはいえ、危ないなんてもんじゃない。テレビ局もこの人自身も何を考えているのだろうか?と思う番組だった。主に住宅街を走っていたが、角もロクに曲がれない。まっすぐ走ることもままならない。教習所内のコースならば、笑い事で済んでも、子ども等も多くいる住宅街なのである。笑い事では済まされない。私はそういった演出をしていたテレビ局にも腹が立ったのだが、この人自身にも運転する資格や自覚がないと思ったことを記憶している。ペーパードライバーだけでなく、たまに運転はするが、駐車場に入れられないからスーパーに行けないとか、ガソリンスタンドの出入りも得意じゃないとか、そんな話も聞くわけだが、そういう人は運転に向いていないからやめた方がいいと思う。軽々しく路上に出てこないでいただきたいと思うのは私だけではないだろう。