新型プリウス

新型プリウスはやはりすごいクルマであった。ハイブリッドカーは先代プリウスが最初だったのだから、まだまだ出始めのもの。だから、ある意味ではこれほど短期間で大幅な進化をするのは当然なのかもしれないが、このクルマに賭けるものは相当なものだと感じる。しかも価格はSグレードで3万円値下がりしている。詳しい説明など、私のような素人が説明するよりも、トヨタのサイトで発表会の模様を見てもらった方がいいと思うが、プリウスハイブリッドカーとしての燃費の良さに加え、クルマとしての魅力である走る楽しさや走りの性能に磨きをかけ、さらにパッケージングを見直すことにより、広い室内空間と実用性を確保し、スタイリングもプリウスらしさを残したまま、新鮮さと先進性をアピールしている。こういった重要なポイントをいくつもしっかり進化させていることに驚く。また、先進的なクルマというイメージとか、それをアピールする、例えばインパネの造形であったり、ボタンでエンジンをスタートさせる機構であったり、エレクトロシフトマチックの採用だったり、技術面としても演出としても、しっかりと先進性が出ていて、使う人自身もそれを実感し、喜びとできるような要素も盛り込まれているから、さらに驚くところである。


また、私がもっともやるじゃないかと思っているのは、このクルマにツーリングセレクションというグレードが用意されている点である。さらに、モデリスタからモデリスタバージョンが発売されているのも感心である。まぁ、世の中いろんな声があって、中にはこんなものは・・・とかプリウスは燃費こそ命なのだから、燃費が悪くなるこんなグレードを選ぶ人は、真のハイブリッドカー乗りとは言えないというような、的外れな意見を持っている人、評論家もいるようだが、私はその意見は間違っていると思っているし、そういう人たちはハイブリッドを本当に浸透させようと考えているのか疑問に思う。ここでこういうグレードを設定しているのは、トヨタ自身がもうハイブリッドカーは特別なものではないと考えている証である。燃費スペシャルも当然あっていいが、その反面燃費は若干悪くなっても、スポーティさを重視したい人もいるだろうし、そういう様々な用途に対応しようということだろう。新型ではいかにも環境に優しそうなイメージのボディカラーが消えたのもそういう流れからであると思う。

例えば、本来同クラスのミディアムスポーティセダンを買おうとしていた人を取り込めればそれはとても効果のあることではないだろうか。なぜなら、悪いと言ったところでリッターあたり30km/Lなのである。たまたまサイズも似ていてスポーティということで例にあげるが、アベンシスの燃費は13km/L。他の同クラスのセダンもだいたいこんなもの。これらを買っている人が30km/Lのプリウスに乗り換えるだけで、十分環境や資源に対する効果はあるのである。ハイブリッドカーは、どこかいい子チャン車的なイメージがあって、先代はそういう面もあった。しかし、そこが敷居を狭くしている面もある。そこを打開するツーリングセレクションやモデリスタバージョンは、そういったイメージを変え、ハイブリッドは十分スポーティであるというトヨタの自信とアピールの姿勢だろう。今後はハイブリッド技術がスポーツ分野にも応用されていくはずである。


今回のプリウスの価格は安い。今回プリウスは2.0L並み、またはそれ以上の動力性能を実現しているから、ごく普通の2.0Lガソリン車だったとしても、それほど高い設定ではない。ベースとなっているのはプレミオで、ボディも大きくなっているし、位置付けとしてはアベンシスとプレミオの中間といったところになるだろうが、それならば215万円という価格はそんなに高くはない。上級グレードの257万円という価格もアベンシスやアコード、アテンザなどと比べても張り合える価格帯である。だが、このクルマはハイブリッドカーなのである。トヨタいわく、まともに利益を出そうと思えば、500万円くらいにしなければ元が取れないというクルマである。一般的にはもちろん安いとは言えないだろうが、本来500万円はするクルマが215万円から買えるのは安すぎると言ってもいいだろう。私個人としても、新型プリウスはとても魅力のあるクルマだと思う。先代はカローラとそれほど大差のないクルマが、200万円以上しているのだから高いという印象もあったが、今回はミディアムクラスのスポーティな5ドアと考えれば、別にハイブリッドじゃなかったとしても、高くない価格と見ることができるのだ。日ごろトヨタは儲けすぎ!と言われているが、このクルマに関しては半額トヨタ負担みたいなもの。こんなチャンスはめったにない。十分買いな1台だと思う。そして、どんどん売れて欲しいものである。試乗が楽しみだ。