デトロイトショーから長々・・・

アメリカ最大の自動車ショーであるデトロイトショーでも、日本メーカーからいろいろと意欲的なクルマが出品されている。やはりアメリカは中心市場ということで、むしろ先日の東京ショーよりも目玉が多い?とすら感じる印象。そんな日本メーカーには不満も感じるが、もう少し日本を大切にしたクルマ作りをしてもらいたいものだ。

今回のデトロイトショーでは、トヨタはなんと言っても次期アリスト「レクサスGS」が目玉。スタイリングは現行モデルのイメージを残しつつ、ボリューム感のあるものとなっていてなかなかいい。エンジンはアメリカ向けには3UZ-FE型V8-4.3Lエンジンを採用。しかし、現行同様に6気筒も存在し、こちらは新開発の3GR-FSE型V6-3.0Lになるようだ。ミッションは6速AT。ただ、個人的に写真で見る限りでは、インテリアは質感は気になる。デザイン上の問題もあるかもしれないが、ちょっとチープになってるんじゃないの?と思ってしまった。それから、ハリアーハイブリッドこと「レクサスRX400h」もいよいよ市販バージョンが登場。同時に兄弟関係にあるハイランダー(日本名クルーガー)にもハイブリッド仕様があることがわかった。メカニズム的には東京ショーで発表された通り、V6-3.3Lの3MZ-FEエンジンにフロント&リヤの電気モーターを組み合わせるE-Four。システム出力はV8-4.0Lエンジンを凌ぐ性能を発揮するという。そういった意味で「400」という数字を使っているのだろう。ただ、国内向けは3.0Lで行くかもしれない。その他には、次期セリカのベースとなると思われるトヨタの新ブランド「サイオン」の第3弾「tC」も気になる存在である。まったくこのままセリカとして出てくるかどうかは微妙だが、セリカの販売台数を考えると、日本専用ボディを用意するだろうか?という疑問もあるため、細部のパーツを変えたモデルが投入される可能性は高い。「サイオンtC」には、2AZ-FE型の2.4Lエンジンが搭載されているようだが、国内仕様は1.8L〜2.0Lになるだろう。カルディナとベースが同じなので将来的には「GT-FOUR」の復活も噂される。ただ、こいつはかなり安く作っているという印象。インテリアなんてファンカーゴレベルでトヨタとしては信じられないくらいチープ。1.8L(1ZZ-FE)で150万円くらいならいいと思うが、それ以上の価格なら私はいらない。ウィッシュが168万円の時代である。当然だと思う。

日産はやはり当分アメリカ様様で、日本人としてはおもしろくない。もちろん、今年はリバティ、サニーなど日本サイズのモデルもあるが、ワクワクするクルマはアメリカ向けに多いのが悔しい。とりあえず売れ筋であるSUVをこれでもかと充実させている。「ムラーノ」「インフィニティFX35/45」に続いて、フルサイズピックアップの「タイタン」さらにそれに続いて「フロンティア」「パスファインダー」のフルチェンジモデルも公開した。さらに「パスファインダー」をベースとしたインフィニティ向けの上級モデル「QX56」も出品。どれがどれだか付いていけない気もするが、これでしっかり儲けたら日本でもいいクルマ作ってくださいと言いたい。目玉は以前にも紹介したように新しいV8-5.6LのVK56DEのほかに、今回新顔としてV6-4.0LのVQ40DEも登場。当分国内では展開されそうにはないが、次期サファリが年内には登場するようだから、もしかしたら投入されるかもしれない。

ホンダはトヨタ・日産が力を入れているSUVやピックアップにそろそろ手を付けようと、新しいコンセプトモデル「SUT」を発表しているが、これはピックアップトラックではないとホンダ自身は言っている。これにはホンダがプラットホームやエンジンを持っていないために、本格派は作れないという面があるためだが、これまでホンダは逆にそれを武器にしてオデッセイ・CR-Vと大ヒットを飛ばしてきただけに侮れない。本格的なピックアップのように見えて、走りや快適性は乗用車となると魅力も出る。ベースはMDX?のようだが、エンジンはV6-3.5Lとなっている。その他には、アコードハイブリッドの発売の発表もあったようだ。それからマツダデミオベースの「MXマイクロスポーツ」を出品した。これも市販できそうなほど完成度が高い。エンジンは2.0LのLF-DE型を搭載しているようだが、このクルマはデミオアクセラの中間を埋めるために今年中に日本でも発売が予定されているようだ。ショーモデルとしてはサイズが3ナンバーになっているが、日本ではワイドなフェンダーが取り外され5ナンバー枠に留まるはず。1.5〜2.0Lエンジンを搭載するだろう。スバルは新型レガシィを出品。そのエンジンは新開発2.5Lターボというのが注目である。アメリカでは大きな排気量の方がウケがいいため、2.5Lにしたのだろう。パワーも控えめな250馬力。日本ではパワーと経済性を考えれば2.0Lで十分。当分レガシィに搭載はないだろうが、フォレスターならば搭載する可能性があるようだ。フォレスターであれば、2.0Lのハイプレッシャーより、大きな排気量のロープレッシャーというエンジンとは性格が合いそう。

今年もいろいろなクルマが日本でも出てきそうだが、もっとワクワクするクルマが欲しい。トヨタが「サイオンtC」を13ヶ月で開発したとか、最大6ヶ月で新型車を出せるようにするとか、そんな話を聞くと、ピジネスマンはすごいなぁと思っても、クルマ好きとしてはため息が出る(あぁ・・・またつまらないクルマが出てくるのか)ばかり。去年からショールームに行って、じっくり見たい!乗ってみたい!と思うクルマが少なくなった。いちいち見なくてもわかるようなクルマばかり。市場の変化に合わせて色々なクルマを出すのはいいと思う。心変わりの激しい人にはその程度のクルマで十分だろう。でも、その真ん中には「核」となる渾身の1台がないと、どうにもならない。どこのメーカーも少なくとも○○ベースで作りましたと言う「○○」くらいは、本当に熱心に作って欲しいと思う。もう正直スポーティだとか、ヨーロッパとか、都合のいい言葉も個人的には飽き飽きしている。別に特別な物が無くてもいい。何かの真似もいらない。地味でも真面目に作っているなぁとか、本当に開発者の熱意とか情熱が感じられるクルマを私は見たい。それから、外国ばっかり向いてないで、もっと日本のサイズや好みにあわせたモデルを出して欲しい。わがままな意見だろう。自分の欲求しか書いていない。でも、今年はこういうサイトの管理者としてはマズイかもしれないが、改めて一人の「クルマ好き」という原点に戻った視点で見ていきたいなと思う。