レジェンドに惚れて

唐突だが、たまには「今日の1台」みたいなことを書きたくなった。というのは、最近ホンダレジェンドが気になるのである。もう今年の後半にはモデルチェンジするクルマだし、デビューから8年も経とうという、まさに旧いクルマだが、これがなかなか魅力的なクルマに映る。実は昔から嫌いではなかったのだが、今ごろになってその気持ちが加熱している。今、もしも400万円前後の予算があったとすれば、私は新型クラウンの3.0ロイヤルサルーンよりも、3.0アスリートよりも、レジェンドのユーロエクスクルーシブを買うだろう。もちろんクルマは機械だから、そういう目で判断すれば、新しいクラウンが良いに決まってる。エンジンも走りも、安全装備を含めた安全性や、燃費・環境性能、ナビなどの快適装備を含めて全部クラウンの勝ちだろう。それだけでなく、同じホンダの中で考えても、今となっては弟分であるインスパイアの方が優れているだろう。でも、私はレジェンドにしかない雰囲気が好きなのだ。まず、一番の違いはブラックのボディカラーで乗れるという点だろう。クラウンやセドリックのブラックなんて選ぼうものなら、社用車とか公用車にしか見えない。でも、レジェンドならばブラックでもそうは見えない。まぁ、それはレジェンドが社用車や公用車としてほとんど使われていないからでもあるが、それが利点でもある。もうひとつはレジェンドのガラの悪そうな雰囲気と、内に秘める闘争心である。ガラの悪さで言えば、けっこうガラが悪いセドリックやグロリアですら負けるだろうし、闘争心で言えば、もう勝負するより話し合いをしようよというおじいさんクラウンに比べ、レジェンドには血の気の多い男を感じるのだ。まだまだ来い!いくらでも勝負してやる!という雰囲気がある。どんな弱そうな男でも黒いレジェンドで乗り付ければ、その筋の人間に思われるかもしれない。いや、HPではそれだけ伝わっていないかもしれないが、現実にクルマを目の前にするとそういうものがあるんです。男が一度は憧れるものがこのクルマには感じられるのである。しかし、エクステリアだけでなく、高級車として大切なのはやはりインテリアということになるが、このインテリアもけっこう侮れない。実は去年レジェンドを間近でじっくり見る機会があり、思えばその時からレジェンドへの思いが沸騰しはじめたと思う。その時に見たユーロエクスクルーシブのインテリアに惚れてしまった。写真では大したことがなさそうだが、実際に見てみると写真以上にいい。わざとらしいプリントのテカテカした木目パネルをあちこちに貼っているというようなインテリアではなく、決めるところは決めてるなという印象。その木目パネルも楓の本木パネルだから質感も高い。特に気に入ったのは、クリームレザーシート。タンまでは茶色ではなく、ホワイトでもない。この微妙な色のレザーシートは国産では他にはない。この雰囲気がなかなかいいのである。これも少しガラの悪さに通じるものがあるのだが、しかし、下品ではない。高級ブランドショップのような雰囲気があるのだ。オーディオもラックスマンによるチューニングというのも心をくすぐられる。現在月に2ケタ台しか売れていないレジェンドだが、もっと売れてもいいと思う。本当に買うならビックリするような値引きも出るし、300万円あったら中古でも絶対買うのに・・・と思っている。次期モデルはまだまだわからないが、個人的には今の雰囲気を壊さないで欲しい。メカニズム的には、新開発のV6-3.5L i-VTECエンジンとか、ホンダ初の電子制御4WDなど目玉は多く、走りの面では下手なスポーツカーよりも凄いという噂だが、私はそういうものよりも、エクステリア・インテリアの雰囲気がどうなるのか注目している。やはり、この雰囲気はホンダならではのものだと思う。それをホンダももっと強調すべきだと思う。次期レジェンドが、クラウンの後追いみたいなクルマにならないで欲しいものだ。