スバルカルディナ?

トヨタがスバルに新型車開発を委託するという。90年代後半からのトヨタの伸びはすさまじいものがあり、今トヨタは人材不足に悩んでいるという。確かにこの10年でトヨタは変わったし、世界的な生産台数も右肩上がり。また、国内に目を向けても車種数もかなり増え、かといってむやみに人を増やすこともできないから、なかなか難しい。そんな時にスバルと資本関係を持つようになった。そんなわけでスバルの独創的で高い技術力を活用しようということだろう。

この新型車開発の委託という話題は、クルマ好きとしてみればワクワクする話だが、ニュースによるとトヨタの既存車種のモデルチェンジを委託するというから興味深い。その車種はまだ決定していないようで、明らかにされていないが、もしも本当に新規車種ではなく、既存車種のモデルチェンジを委託するとなれば候補に上がりそうなのがカルディナだ。そして、個人的に一番見てみたいのもカルディナだ。これまであからさまにライバルつぶしを徹底してやってきたトヨタ。そんなトヨタでも唯一つぶせなかったのが、スポーティなステーションワゴンであるレガシィツーリングワゴン。その対抗馬であるカルディナをスバルに作らせる。まさにこれは「毒をもって毒を制す」ではないが、こんなことが起こったらおもしろいという話である。しかし、スバルとしてはレガシィは非常に重要な車種。いくら資本提携を結んだトヨタといえど、大切なレガシィの対抗車の自分で作るというのは受け入れにくいことだろう。

というわけで、実現する可能性は低いように見えるが、トヨタのラインナップを見てみると、カルディナあたりが一番ありそうというのも事実。コンパクトカーの経験はスバルはあまりないし、高級セダンはまずないだろう。それにミニバンもほとんど経験がないから可能性は低い気がする。となると、ありえるのはミディアムセダンかワゴン、またはSUVというところではないだろうか。すると記事にあるように2〜3年後にモデルチェンジしそうなこのクラスのクルマとなると、カルディナやプレミオ、アリオンあたりということになる。このうちスバルらしいスポーツ性や4WDの技術が生かせそうなのはカルディナではないだろうか。まぁ、これはあくまで想像でしかなく、もしかするとアッと驚くような車種がスバルによって開発されるかもしれない。

ただし、この新型車開発の委託というのは、あくまでトヨタ車の開発を委託するという形のようで、生産もトヨタの工場で行われるというから、スバルのAWDや水平対抗エンジンが搭載されるかといえば、そんなことはないように思われる。トヨタ車のコンポーネンツを使い、スバルが開発するという形になるだろう。もちろん、スバルらしさも随所にちりばめられるだろうが、そこまでスバル色の強いクルマにはならないようだ。しかし、あのスバルがトヨタのクルマを開発することになるとは夢にも考えなかったことである。この2社の関係はおもしろいことになってきそうだ。