クルマ型 ?

新型トヨタbB。なんだか複雑な気持ちになる。「音・光・まったり」ですか。室内はクラブを意識とか。音にこだわったそうで、サブウーハーはもちろん、ダクトスピーカーも装備し、最大で9スピーカーを設定。しかも、音楽にあわせてイルミネーションが点灯するらしい。アームレストコントローラーもなんだかDJブースみたいで、心くすぐられるものがあるかもしれない。シートは座面が沈み込むような姿勢も取れるようで、窓から見えにくくなる、まさにトヨタの言う隠れ家的な感じ。車内でイカガワシイことだってできてしまう。これはちょっとなかなかいいネ。

今回の新型bBは、これまでのヴィッツベースではなく、パッソがベースとなっているとのこと。そういうこともあって、生産はダイハツで行われ、搭載されるエンジンもダイハツ製の1.3L(K3-VE)と、新開発の1.5L(3SZ-VE)の2つ。トランスミッションもSuper ECTとなっているものの、他のトヨタ車のアイシン製ではなく、ダイハツのものを使用しているため、コスト安で一部機能が異なる。なぜ新型はパッソベースになったのかというと、開発者によれば、タイヤを4隅に配置する踏ん張り感のあるスタイリングを実現するには、ヴィッツ系より、パッソの方がよかったと言う。まぁこれは開発者お得意の後付の理由だろう。この人は別のところでは若者に買ってもらえる価格にするためとも言っている。で、ちょっと期待していたが、価格は据え置きで、別に安くなっていない。

確かにこういうクルマを買う人は、特にクルマに対する知識とか持ってなさそうだし、壊れなければそれでいいみたいな感覚の人が多そうだ。トヨタというとても安心なブランドだから、何がベースになってるとか、そんなことは知ろうとも思わないし、知ったところでどういう意味かもわからないだろう。見た目がなんかワルそうで、中に乗ればキラキラ光るイルミネーションにデカいスピーカーが付いている。それだけで十分なのだから、ベースなんて一番安いパッソで十分すぎるというのがトヨタ流の考え方なのである。しかし、私はそんなことよりも、あまりに連発される「若者」という言葉に違和感を感じる。果たして本当に若者がこのクルマをこぞって買うのだろうか。若者で買うのはジャージを着ている田舎ものだけだろう。女性女性と言って、赤系のボディカラーにかわいい柄のシートを装備しても逆にまったく売れないように、あまりに演出しすぎるとかえってソッポを向かれる可能性が高い。だから、私はこのクルマは、意外と年齢層が高くなるような気がする。今流行りのちょいワルおやじ仕様とでも言おうか。そんな人や、むしろおじいさんなどがこんなクルマに乗っていたら逆にかっこいい。そんなじいさんなら自分もなりたいと思う。

だけど、こういう物はトヨタだからこそできるのだろう。自動車だけでなくクルマの形をしたミュージックプレーヤーまで作ってしまうのだからさすが世界1位を目指すメーカーである。しかし、そう言いながら9スピーカーが最上級グレードにしか装備されていないのは、これまたトヨタ流の意地の悪い設定である。ここまでアピールするなら、全車に装備しなければ意味がないと思うのだが。4スピーカー仕様なんてクルマでも無ければ、ミュージックプレーヤーでもないのだから、存在意義がない。しかし、自動車業界も、こういう物が出てくるのだから、まだまだ未知の世界があるように思う。次はクルマ型洗濯機とか、クルマ型電子レンジなどを見せてほしい。