自動車番組

日本を代表する産業であり、これだけ生活に溶け込んでいる自動車ですが、意外と自動車を扱った番組は少ないものです。やはり趣味の世界なのでしょうね。多くの人たちは車を買う時こそいろいろと情報収集したりするのですが、あまり深いところではない。燃費とか装備とか、価格や値引きあたりが主なポイントのようです。そして買ってしまえば車のことを考えることはめったにないのでしょう。

自動車番組の代表格である三本和彦氏の「新車情報」は、昨年27年間の歴史に幕をおろしました。この番組は視聴者、つまり消費者の視点で自動車を見て、開発者に対して時に厳しい意見を突きつけるという番組でした。開発者に対して意見を言える、また開発者の顔が見える番組として、長く評価されてきた番組だったと思います。これに似た方向性では、徳大寺有恒氏の「間違いだらけのクルマの選び」。こちらも30年間の歴史に幕を下ろしたようです。徳大寺氏はやや違うような気もしますが、両氏とも日本の自動車創世記から消費者の視点に立ち、言うべきことを言う評論家、ジャーナリストとして活躍されてきたわけで、そういう歴史あるものが相次いで終了のも、ひとつの時代の区切りかなと思う部分もあります。日本には多くの自動車評論家、ジャーナリストを名乗る人がいますが、なかなかそれに値するなと思う人があまり育っていないような気もしてしまいます。

さて、テレビではその後に「新車ファイル クルマのツボ」という番組がスタートし、間もなく1年になろうとしています。岡崎五朗氏出演によるこの番組は、「新車情報」の良い部分も受け継いでいますが、不躾さが足りません。岡崎氏はモータージャーナリストとしては比較的言うべきことを言っている人だと思いますが、やはりまだ若いということもあり、自分より歳上がほとんどの開発責任者を前にしては、言いにくいこともあるのでしょう。ただ、その点は視聴者代表と称する小森谷徹氏がカバーし、時に厳しいことを言っています。あまり必要ないという声もあるようですが、個人的にはいた方がいいと思っています。このほかには、20年近い歴史のある「CGTV」も放送されています。ご存知「カーグラフィック」という雑誌から飛び出した番組ですが、どの程度の地域で放送されているのでしょうか。関西地区では朝日放送で一時的に復活したのですが、いつの間にか終了し、今はKBS京都での放送となっています。この番組は独特の内容で、大衆車も取り上げるのですが、時には普段お目にかかれない車種を取り上げるのがおもしろいです。

その他では、伏木悦郎氏がMCを務める朝日ニュースターの「モトアカデミア」という番組もあります。この番組は、朝日新聞のホームページからも見ることができます。特に目立ったことはしていませんが、それなりに楽しめる番組ではないでしょうか。また、インターネットでは「impress TV」の中に「Auto Press TV」というのがあります。ほとんどが松下宏氏出演で、新車発表会、試乗レポートがメインですが、正直あまりおもしろくありません。このほか、おすすめは最近よく耳にするようになったUSENの「GYAO」の中で放送されている。「久米宏のCAR TOUCH!!」です。久米宏という自動車評論家でもモータージャーナリストでもない人が司会を務めるこの番組は、ありきたりな試乗レポートなどもあるのですが、その他にもデザイナーや、自動車とはあまり関係ない人との対談などで構成され、なかなか見ごたえがあります。もっと自動車番組が増えて欲しいものですね。

「新車ファイル クルマのツボ」 http://www.tvk-yokohama.com/tubo/
「CGTV」 http://www.webcg.net/WEBCG/cgtv/ (ブロードバンド放送有)


「モトアカデミア」 http://www.asahi.com/car/moto/
「Auto Press TV」 http://impress.tv/im/article/apt/
久米宏のCAR TOUCH!!」 http://www.gyao.jp/life/