投票の結果は?

前回で触れているように「あなたが選ぶカー・オブ・ザ・イヤー」に投票いたしました。投票は開始間もなく行ったのですが、この投票は、今月いっぱい?(たぶん)受け付けているそうなので、まだまだ参加できます!!私も投票したいという方はぜひ選考委員になってはどうでしょうか。

さて、私はここでは自分の投票について明言していなかったのですが、それは実のところまだはっきりとどうしようか決まっていなかったということがあります。しかし、いろいろとああでもないこうでもないと思いながら、投票を進め、決定してしまったので、(話題も最近少ないし?)私の投票結果など知っても、どうということもないわけですが、記しておこうと思うわけです。

ただ、先日送られてきた<号外>なるメールマガジンで、途中結果が公表されていましたが、なんだか「?」と思うような結果でしたなぁ。まぁ、ジャーナリストや評論家が選ぶのではなく、一般の自動車好きが選ぶという賞ですから、多少夢が反映されることは自然なことかな?とは思うんですが(インポート・カー・オブ・ザ・イヤー途中経過1位のフェラーリ599など)、RVのトップが日産ウイングロード、セダンの2位と大賞の2位に日産ブルーバードシルフィなど、意外な結果すぎる。RJCも本家COTYも日産は今年は蚊帳の外という感じですが、世間では日産車の評価はそこまで悪くないのか?それにしては販売台数には反映されていないのだが・・・。さらに、軽のベスト5にモコとオッティというOEM車が入っているというのも本当かよ?と思ってしまいました。まぁ、選考は公正なものであると信じていますが、こういった投票というのは、ある種の偏りが出てしまうのは仕方ないのでしょうか。


私の投票は以下のとおりでした。


<ECOカー・オブ・ザ・イヤー

ダイハツエッセ

ダイハツがもう一度軽自動車とは何か?ということを考え直したクルマがエッセだったと思う。軽でも広く重くなっている現在、必要十分なサイズで、車体も軽く、特別な機構を使わなくても低燃費、高い環境性能を実現している点を評価したい。それに、価格が60万円台からというのも素晴らしいと思う。今年はハイブリッドカー「レクサスGS450h」や「トヨタエスティマハイブリッド」も発売された。しかし、ハイブリッドというのはもはや=エコではなくなってきている。本気でエコを考えるのなら、特に「GS」などは「450」と名乗らせる必要はなく、2.5L+モーターとして「GS350h」でいいのではないか。いや、ハイブリッドを否定するつもりはない。ハイブリッドはさまざまな用途へ使われるべきで、エコだけのものではない。パフォーマンスのためにモーターを使うのもいいと思う。だが、そういう面からすると今回のハイブリッド2車種は、私はエコカーではないのんじゃないかと思うのである。


「K4・オブ・ザ・イヤー」

三菱アイ

これは、おそらく誰もが納得というところではないだろうか。独自のMRレイアウトに100%新開発のエンジン、さらにこのレイアウトだからこそ生まれたスタイリング、それでいて思ったより安い価格設定。軽自動車としては、正直まだホイールベースが長くなるのか!と驚かされたダイハツムーヴも相当いいクルマだが、三菱アイは軽という枠の中にとらわれることなく、世界の自動車から見ても、非常に個性的でオンリーワン的な性格を持ったクルマである。今の時代こういう車が出てくることだけでもすごい。そして、この先出てくるかどうかわからない。日本の自動車史に残る1台になると私は思っている。


「セダン・オブ・ザ・イヤー」

○レクサスLS

あとでも触れるが、大賞には迷うが、セダンという枠の中なら今年は間違いなく「レクサスLS」が今年を代表するセダンであろう。トヨタが社運をかけて投入した高級車ブランド「レクサス」のフラッグシップカーだけに、その熱の入れ方は尋常ではない。トヨタの持つ技術をすべて投入し、世界のプレミアムセダンと肩を並べる素晴らしい1台が仕上がった。これなら、メルセデスベンツのSクラスや、BMW-7シリーズ、アウディA8などと比べても、なんの遜色もないだろう。レクサスはよく無味無臭だとか、個性が薄いといった声が聞かれるが、私はそこがレクサスだと思っている。静かなことや運転が楽なこと、こういったことも非常に重要なことで、むしろそんな少し遠慮がちなところが、いかにも日本らしく、何もドイツ車になる必要はない。しかし、問題は価格でさすがにそれなりの価格になってしまった。プレミアムブランドたるもの、このくらいの値段でなければ、確かにいけないのだが、この値段ならこのくらいのクルマは作ってもらわないと困るというのが、私の中で大賞までは行かなかった理由である。


「RV・オブ・ザ・イヤー」

マツダMPV

これだ!とすぐに決まるラインナップではなかったが、消去法で選んでいくとマツダMPVかな?という感じであった。最近のマツダらしいよくできたクルマで、今回はプラットホームやエンジンも一新。NAエンジンの2WD車も6速ATだったら文句なしだったのが残念だが、このクラスとしては珍しい直噴ターボエンジンも設定し、こちらでもSU-LEV認定を取得するなど高い環境性能と、マツダらしいファン・トゥ・ドライブを実現した点は高い評価に値する。また、装備と価格のバランスもよく、ライバルに対してもお得な価格設定となっているのも利点である。


「スポーツカー・オブ・ザ・イヤー

プジョー・クーペ407

正直、これはかなり迷ったというよりも、これといったクルマが無くて、一番悩んだところである。私自身があまり2ドアクーペに興味がないということもあるのだが、フェラーリやオロチのような夢みたいなクルマは現実的な気がせず、投票する気にはなれないし、ましてらブガッティヴェイロンのようなクルマを選んでどうするんだ!?という思いもあったりして、結局賞の別名?「恋人と乗りたいクルマ」ということを意識して、プジョーのクーペ407を選んだ。このクルマ、特にとりたててスポーティだとか、メカニズムがすごいとか、そんなものではないのだが、フランス車らしい独特のスタイリングと、センスが光るインテリア、そして価格もまぁまぁ(とはいえ500万円クラスですが・・・)というわけで、恋人とデートするなら、このくらいが運転もしやすいし、ムードも最高だろうというそれだけの理由です。


「インポートカー・オブ・ザ・イヤー

メルセデス・ベンツE320CDI

一度、エコカーのところで選びかけたのだが、エコというにはまだ課題が残っているため断念。しかし、インポートカーとしてなら、受賞する資格はあると私は思い、これを選んだ。現在の日本ではディーゼル車は壊滅状態であり、ディーゼル車というものがまったく普及していない。何もディーゼルを普及させることが良いことと言いたいわけではないが、まだまだ発展途上のディーゼルエンジンを日本国内にあった形で発展させるためには、やはり今の、現在の最新のディーゼルエンジンというものを日本のユーザーも知ることが重要だろう。そのひとつの選択肢として、メルセデスベンツディーゼルが壊滅状態にある日本に、ヨーロッパの最新のディーゼル車を導入したというのは、これは非常に思い切った決断であり、これから各社に与える影響は決して小さなものではないと思う。事実、VWなど他のヨーロッパメーカーも日本国内へディーゼル車を導入する計画をはじめ、日本メーカーもディーゼル車を投入することを検討しているという。いつの日か振り返ったときに、今のディーゼル車の発展は、2006年のE320CDIが日本に入ってからだなと語られる日が来るのではないだろうか。そんな意味で、よくも悪くも一石を投じたこのクルマに今年のインポートカー・オブ・ザ・イヤーを受賞していただきたい。


「あなたが選ぶカー・オブ・ザ・イヤー(大賞)」

三菱アイ

軽自動車のところですでに説明しているため、多くは省きたいが、今年の日本車の中でこのクルマは素晴らしい!と思えたクルマは、三菱アイとレクサスLSの2車種だった。レクサスLSも大賞を受賞する資格は十分にあるのだが、私はやはり800万円以上もする価格のクルマを選ぶことに少し抵抗を感じる。この2車種はまったく違う方向を向いたクルマだと思う。LSはあの内容で800万円はすごい!という人もいるかもしれない。けど、三菱アイはこれで105万円〜というのもまたすごいわけである。どちらかといえば、やっぱり誰もが買える価格のすごいクルマの方がすごいんじゃないか?という私の持論で、三菱アイを大賞に選ぶこととした。

あなたが選ぶカー・オブ・ザ・イヤー

「あなたが選ぶカー・オブ・ザ・イヤー」(http://www.yearcar.jp/)というユーザー参加型の“COTY”が企画されている。まぁ、私も“選考委員”とやらになったのだけど、どこかで聞いたことがあるタイトルだなぁ。管理人の怠慢で開催がいつの間にやら滞っているが、うちでやっていた企画である。ちなみにタイトルまで同じなのは偶然?

まぁ、うちのような個人サイトのことなど誰も知らなくて当然だし、なんの手続きもしていないこのタイトルに権利を主張することもできないが、この機会に一応言ってみたい。うちでは6年前からやってたよ!と。というわけで今後も機会があれば、「元祖」とか「老舗」とか怪しげなタイトルも加えてやらせていただく。けれども、私自身は常々このような企画が大規模に行われたらいいのに・・・と思っていたので、むしろ歓迎しているし、もうここでやる必要もなくなったなと思う。今年もやりません。

というわけで、みなさんもぜひ選考委員になって、参加してください。まぁ、この賞が公平な集計によるものであることを前提とした話ですが。しかし、こういうサイトをやっている以上、1票は国産車に投じたい気持ちですが、10月時点での国産車のラインナップをみても、これしかないなという車種がないですなぁ。単純にすごいという点では「レクサスLS」でしょうが、なんだか無条件にこれだ!という気持ちになれないのは、判官びいきな性格のせいでしょうか。でも、価格が高いですからね。このくらいはあたりまえという見かたもできる。でも、こうしてひとつひとつ見ていたら、1台だけ入れたいクルマがありましたネ。誰でも手が届くクルマです。たぶんこれに入れると思います。それは投票するまで秘密にしときます。

カローラと歩んだ6年

知らないうちに「CAR STADIUM」も6周年を過ぎた。そして、気付かぬうちに7年目に突入している。3年や5年は、ついこの前のことのように思うが、それほど長い気はしなかった。けれども、7年目という数字は10年に手が届きそうな気がして、けっこう長いことやってしまったなと思う。まさかこんなに長く続くことになるとは思ってもいなかったが、月日が経つのは早いもので、すっかり私もおっさんになってしまった。

アクセス数はあるときから一定と言うべきか、頭打ちと言うべきか、伸びもしないが減りもしないという感じだが、一時の熱の入れように比べて、必要最低限のことしかやらなくなったこの頃でも、これだけ毎日訪れてくれる方がいるということは、求められているという実感でもあり励みになる。累計260万以上ものアクセスをいただいたことに感謝するしかない。

さて、10月10日には新型トヨタカローラがデビューする。「変わらなきゃ」というフレーズでデビューした現行カローラに対する思いは、個人的にけっこう深いものがある。それは、この「CAR STADIUM」を立ち上げた当時、現行カローラがデビューしたばかりで、その頃その質感の高さと価格の割安さに驚愕し、まず最初に取り上げたクルマだったからだ。トヨタ車に限らず、すべてのメーカーに言えることだが、それ以前の車は安っぽいものが多かった。バブル期に潤沢な開発費を費やされ、コストもしっかりかかった車が多かった時代からバブル崩壊。時代はコスト削減の波に呑まれ、クルマのクオリティが一気に下がった時期があった。トヨタとて、コスト削減が上手ではなく、先代カローラなどはひどいものだった。しかし、そこからまさに「変わった」のが現行カローラだった。このカローラが出てから、トヨタのクルマだけでなく、ほとんどの車のクオリティが明らかに上がったと思う。21世紀を目の前に9代目カローラは新しい時代の幕を開けた1台だったと思う。

そんなカローラも10代目になり、また大きく変化しようとしているようだ。現行モデルがあまりにも良くなりすぎたため、新型は6年前のような驚きは感じられない。2000年にデビューした9代目カローラの時点で、セダンユーザーの平均年齢が59歳というニュースはけっこう報道されていたが、あれから6年が経ち、セダンに限って言えば、60歳を超えているという。自然な流れなのかもしれないが、ユーザーの高齢化は避けては通れない。現行では若返りを図ろうとしたが、新型ではむしろ高齢者に向けたクルマ作りに方向性を変えたように思われる。人口に占める高齢者の割合が20%を超えたというから、これからは高齢者に向けたクルマ作りをすることが、ビジネスになると考えたのかもしれない。10代目となる新型カローラは「アクシオ」というサブネームが付くようだ。これも遠くて近い将来の変化の兆しなのだろうか。カローラはこのままカローラを愛した世代とともに消えゆく存在なのかもしれない。

ガソリン価格高騰!ディーゼル復権?

それにしても最近ガソリンが高い。2年前には1リットルあたり105円くらいだったレギュラーガソリンが、今や150円になろうという勢い。1.5倍に跳ね上がったことになる。こうなってくると、おのずと低燃費運転を心がけてしまうし、無駄にクルマに乗らなくなったという人も多いのではないだろうか。

このようにガソリン価格の高騰により、ハイブリッドカーの需要が高まりを見せている。トヨタプリウスの販売は好調だし、先代ではほとんど売れていなかったシビックハイブリッドも販売を伸ばし、ガソリン1.8Lのシビックよりも、ハイブリッドの比率の方が高くなっているらしい。ホンダはコンパクトカーのハイブリッドを来年発売するらしいが、価格が150〜160万円程度なら大ヒットするかもしれない。ただし、インサイトのような燃費スペシャル変態車にしてはならないが。

軽自動車の販売も伸びているらしいが、軽は燃費で言うとそれほど良いとは言えない。昔の1.5Lクラスあたりなら乗り換えれば、燃費は良くなったと感じるかもしれないが、現代基準で言えば、むしろヴィッツクラスを買った方が圧倒的に燃費はいい。大きく重くなった現代の軽にとって、660ccという排気量は小さすぎる。本当に環境のことを考えるならば、軽自動車の規格を改訂すべきだと思う。スズキは普通車にシフトしつつあるし、ダイハツトヨタみたいなもの。そろそろ排気量を1.0L以下あたりに改訂してはどうだろうか。そうすれば、CVTと組み合わせることにより、実用燃費で20km/Lに届くようなクルマも実現できそうではないか。ただし、税制優遇を残すならば、燃費の悪化を招くターボ、スーパーチャージャーは禁止すべきだ。しかし、これはこれで楽しいもので、残したいという人もいるだろうから、加給する場合は660ccのままという決まりにすればよい。

そして、ここまでガソリンが高くなるとディーゼルエンジンが待ち望まれる。先日メルセデスベンツが欧州仕込みの最新ディーゼルエンジンを搭載する「E320 CDI」を国内で発売した。日本メーカーでは絶滅している乗用車ディーゼルを今、投入するというのは、やはりディーゼル嫌いの日米でもガソリン価格の高騰により、イヤイヤでも燃費が良く燃料代が安いディーゼル車に人々の目が行くことは必然であると同時に、この最新のディーゼルターボに自信があるということであろう。新開発のV6 3.0L 直噴コモンレールディーゼルターボは、211psと3.0L V6ガソリンにも劣らないパワーを発揮し、トルクはなんと55.1kgmと5.5L V8ガソリン並というものすごさである。10・15モード燃費は公表されていないが、以前ボッシュ主催のディーゼルDayで、BMW 530d(3.0L 直6ディーゼルターボ)が平均燃費10.6km/Lを記録していたことを考えると、第3世代ピエゾインジェクターに7速ATを採用する「E320 CDI」は、10.0km/Lは最低でも走るとみていい。同じ3.0L V6の「E300」は実用燃費はせいぜい6〜7km/Lというところだろうから、これを考えると燃費の良さは3割増し。しかも、軽油の価格の安さを加えると燃料代は相当の差になる。80Lタンクを満タンにしようものなら、ハイオク対軽油。1回の給油で3,000円近く違う計算になる。

これに続き、フォルクスワーゲンも「ゴルフ」に最新のディーゼルモデルを投入する計画であるという。欧州メーカーを中心に最新のディーゼルエンジンを積極的に投入してもらえれば、日本のメーカーも国内で投入することを考えはじめるだろう。そういう意味では、今回の「E320 CDI」の販売と日本ユーザーの評価については、日本メーカーは大きな興味を持っているはずである。ちなみに国産ディーゼル車については、2009年に三菱が新開発するディーゼル車を国内投入すると発表している。2010年あたりが日本における新たなディーゼル元年になる可能性がある。

日産の危機

日産の国内新車販売台数が下降している。普通車と軽自動車をあわせると、今となっては、スズキの方がむしろ売れているほど。カルロスゴーン社長兼CEOはその手腕が大きく評価されてきたが、ここに来て、そろそろ彼の手腕にも疑問の声が出てきている。彼が行ってきたことは確かに凄く、また結果を出しているという点は、否定できないのだが、ここまで新車販売が落ち込んでいるというのは、やはりゴーン氏の無理のある新車投入計画にあるといわざるをえない。

日産180計画をなんとしても達成させるため、ゴーン氏は半年で大量の新型車を投入した。日本国内では、ムラーノにはじまり、ティーダティーダラティオ、フーガ、ラフェスタ、ノート。そしてセレナも含めれば7車種もの新型車を短期間に投入した。確かにこれは瞬間風速的な効果をもたらすだろうが、共倒れになってしまうという危険性もあった。なぜなら、ディーラーではひとつの新型車が出ると、その販売に力を入れる。新型車効果は3ヶ月〜半年程度持つといわれるが、日産は毎月のように新型車を投入。これでは、販売現場では力を入れ暇もなく次の新型車の販売に力を入れざるをえなくなる。初動こそ好調になるが、セールスパワーは分散し、共倒れ状態に。最後に発売されたノートと、約5ヶ月の間隔を置いて発売されたセレナは現在でも好調なセールスを記録しているが、新型車ラッシュの中で、そこそこ成功したのはティーダだけである。

ティーダはコンパクトな2BOXとして売りやすい車種であるが、ラフェスタやサニー後継のラティオなどは販売は振るわない。フーガもクラウンに比べれば惨敗である。特にフーガなどはクルマの出来はよいだけに残念だ。結果として、このような新車投入計画により、瞬間風速的に日産の販売台数は伸びた。商用車を除く販売台数は70万台を超え、2004年を上回った(オッティのおかげともいえるが)。そして、無事に日産180計画を達成した。ただ、その後の動向はご存知の通りである。10%も20%も販売台数は落ち込んでいる。ゴーン社長はこの失速は想定の範囲内と言っているが、そこまでしてこの計画を達成させる意味があったのだろうか。

特に2006年の新車投入計画がスカスカになってしまったのはかなり痛い。特にラフェスタ、ノートは当初より半年も前倒しして発売となった。それ以降も前倒しせざるをず、今年出せるクルマがもう無くなってしまった。スカイラインセダンをなんとかがんばって年内に間に合わせるくらいのことである。残りはスズキ製の軽自動車モコの新型、そしてこれまた三菱製の軽であるオッティ、そしてさらに苦肉の策として、秋にはまたスズキからアルトのOEM供給を受け、他社の軽ばっかりが日産の新型として出てくる。国内販売台数の落ち込みを他社の軽で数字上でなんとか修正しようとしている。

しかし、いくら軽が売れたところで、日産製のクルマが売れなければ意味がない。そのためには、日産製の車種が魅力的なものでなければならない。これまでのようにチープで貧相なクルマ作りをしていては、日本のユーザーは誰も日産に見向きもしなくなるのは間違いない。そして、魅力的な車種が無ければ、どんどん日産のセールスマンは軽ばかりを売る。軽ほど売りやすい車はない。すでにそのような雰囲気になっているという。

ゴーン氏のこのような経営は売れ線SUVを連発したアメリカでも似たようなことが起こっており、瞬間風速的な販売を記録したが、今は落ち込み傾向。さらに短期に多数の新型車を投入したことで、品質に問題が出るなど良くないニュースも入っている。カルロスゴーン氏の問題点は、まず1つめに、無理やり計画を達成しようとすること。彼は自分の業績や名誉にしか興味がない。そして2番目にデザインがよければクルマは売れるという大きな勘違い。

現在進められているGMとの提携も意味があるとは思えない。これも単にゴーン氏の自己満足的なものである。世界トップのGMの建て直しに一役買うことは、これ以上ない業績、功績、名誉だからである。最近そういう態度がずいぶんと鼻につくようになってきた。あまりにもゴーン氏のワンマンぶりが発揮されると日産もルノーも壊れてしまう可能性がある。そろそろ、この人には注意した方がいい。少なくとも日産の社長は退任していただき、会長にでもなってもらい、ルノーのCEOに専念していただきたい。志賀COOを社長兼CEOに昇格させればよい。アメリカも大事だ。しかし、もっと日本を向き、日本人が求めるクルマ作りをしていくためには、やはり日本人の社長が必要ではないか。中身がいくら良くてもデザインが悪ければお客はそのクルマのことを知ろうともしないとゴーン氏は言う。しかし、今の日産車はデザインに惹かれてもっと知りたい!とせっかく思ったお客が商品を見て失望するものが多い。抜本的なクルマ作りの改革が必要だ。これまでのようなケチケチ路線では、日産は他社の軽自動車の販売下請けメーカーに成り下がってしまう。

2代目と言っていいの?eKワゴン

10月に発売される2代目三菱eKワゴンeKワゴンといえば、それまで三菱の中心車種だったミニカに代わり、三菱の軽の中心的な車種としてヒットした。リコール隠し問題で瀕死の状態に陥っていた三菱の中で唯一売れていた車種でもある。そのeKワゴンが初のフルモデルチェンジを受けるということになったのだが、この新型が果たして2代目と言っていいものかと悩んでしまうほど何も変わっていないのであった。

結論から言えば、フロントマスクが少し変わり、インパネがインパネシフトタイプの新しいものになった程度で、あとはスライドドア仕様が追加されただけ。サイドやリヤなんてどこが変わったのかわからないほど同じだし、プラットホームはもちろん、なんと変わると思われていたエンジンですら、20年前から使っている3G83型SOHCと同ターボのまま。これでは、ただのマイナーチェンジで、とてもフルモデルチェンジと呼べるものではない。

この新型(?)eKワゴン、ボディカラーを同じ色で買い替えたら、きっとクルマ好き以外、新車に変えたことに誰も気付いてくれないだろう。いや、私のようなクルマオタクだって遠目に見たら初代か2代目かわからないような気がする。ドアやリヤゲートやリヤコンビランプなどは現行とまったく同じものを使っているんじゃなかろうか。もし、新規開発でこんなに変わらないものを作り直したとしたら頭がおかしいとしか言い様がない。

「i」があれだけ素晴らしいクルマだっただけに、新型eKワゴンに期待していた人は多いように思うが、このクルマは現行モデルから買い換える理由も価値も感じられない。私はモデルチェンジとは認めない。日産は下手したらオッティのマイナーチェンジとしてプレスリリースを出すんじゃないかと思う。いや、それでもなんの疑いもないほど何も変わっていない。

もし、これであと4年も5年も闘う気なら、それは価格を大幅に値下げしなければ商品力が維持できない。少なくともこれだけお金のかかっていないモデルチェンジを実施するなら、価格をアルトやエッセなどと同等の70万円台まで引き下げる必要がある。それならば選ぶ理由も出てくるが、もしも現行並かそれ以上の90万円台も出すなら、同時期に出る新型ダイハツムーヴをおすすめしたい。ステラやライフだってベーシックグレードは94万円。わざわざ90万円も出して20年も前から大して進歩していないクルマを買う必要性は何もない。ただでさえ、数少ないヒット車種であり、三菱にとって重要なモデルのはずなのに、こんな手抜きをするとはナメ腐っとる!新型はbK(B級)ワゴンに改名しなさい。